生成AIの活用方法
- スーパーワン長谷川

- 7月30日
- 読了時間: 5分
マイクロソフトとLinkedInの調査によると、日本のビジネスでの生成AI業務活用率は32%で、調査対象19カ国中最下位とのことです。
ちなみに、世界の平均は75%。
また、別の調査(IBM Global AI Adoption Index、Exploding Topics経由)では
・インド(59%)
・アラブ首長国連邦(58%)
・シンガポール(53%)
・中国(50%)
・ラテンアメリカ(47%)
・韓国(40%)
・英国・カナダ(37%)
・イタリア(36%)
・日本(34%)
・米国(33%)
・ドイツ(32%)
・オーストラリア(29%)
・スペイン(28%)
・フランス(26%)
の順となっているとのことでです。
利用と活用では条件が違いますし、こうした数値は、言いたいことの裏側で示されるものであるので、あまり本気で捉える必要はないと思います。
ただ、言えることは、日本において生成AIは、ビジネスで3割強の方が使っているということです。
この「3割」というのは、周囲を見渡した肌感に合っていると感じます。また、この数字を多いと見るか、少ないと見るかですが、私は多いと感じています。94.4%の企業が業務にパソコンを導入している現在ですが、しかし、パソコン1人1台以上を持たせている企業は4社に1社です。そのような状況下での「3割」ですので、案外、大きな数値なのではないでしょうか。
生成AIは、「お試し中」が最多
結構ビジネスで使われている生成AIですが、では何に使っているかというと、こんな数字が出ています。

業務で使用して効果が出ているという回答は18.6%。しかし、効果を測定中または不明や、トライアル中という回答は、これを遙かに上回り、あわせて50.9%。約半数の方が、「お試し中」というステータスです。
このような傾向は、日本に限らず、米国、ドイツ、中国でも同様です。
効果が出るほどに、その効率を確認できていない、という状況といっても良いのではないでしょうか。
生成AIが、日々進化し、変化し続けている状況であることや、セキュリティ面での不安、得られる情報への信頼の問題など、いろいろな理由があって、十分に使われていない状況にあるのかもしれません。
また、これは私の考えですが、生成AIを教育や医療に活用できないかという企業からの相談を受けた際、現在の社内での利用状況をお聞きすると、だいたいが「議事録作成」、「文章の構成」、「文書の原案の作成」などの、文書作成に関することが多いと感じます。
文書作成以外にも、日常的にある、いわゆる「手作業」の時間短縮にも、生成AIは大いに使えるのですが、以外に活用されていないようです。
生成AI利用により実現できる「時短」
生成AIの活用によって、例えば手作業で1時間かかっていたことが、1分で済んでしまう、ということは多くあります。つまり「時短」ができるということです。
いわゆる「手作業」の中でも、最も面倒で、最も時間が掛かる作業の代表格は以下です。
1.紙の入力(パンチ)
2.入力のチェック
3.入力内容を書面に起こす
日常的によくある作業ですが、これが生じると、いつも多くの時間が取られます。そしてまた、なかなか自動化が進まない部分でもあります。
しかし、これらの作業を生成AIで数分で済ませてしまうことが可能です。
やり方は簡単です。
1.chatGPTを起動する
2.入力したい紙をスキャナーで画像ファイルにしてchatGPTのプロンプトに貼る
3.最終的にまとめたい書面のEXCELファイルをchatGPTのプロンプトに貼る
4.chatGPTのプロンプトに「画像ファイルの内容を読み取って、EXCELファイルに記入し、ダウンロードできるようにしてください。」と記入して実行する
これだけです。
結果は以下の通りです。
・スキャンした画像


・最終的にまとめたい書面のEXCELファイル

・chatGPTの画面

・ダウンロードしたEXCELファイル

どうでしょう?
手書きの数字であるにも関わらず、正確に読み取っています。
また、新宿店に「その他」があるのですが、集計表にはないので除外してくれています。
ダウンロードしたEXCELファイルが、指定した書面通りでないといったところはあるのですが、これもおそらくすぐに、指定したとおりのものがダウンロード出来るようになるでしょう。
また、新宿店の売上報告書が無いことも、ちゃんとわかっているようですね。
さらに、chatGPT4oでは、この結果が出るまでに、28秒でした。
こんな具合に、生成AIはこんな簡単なプロンプトで、人手を介さずに仕事ができてしまいます。
この例では2店舗、9商品なので時短効果はわずかですが、これが数十、数百の店舗や商品を扱う場合、人手では数時間はかかるところ、数分で処理できてしまいます。
「生成AIで時短」のコツ
パン屋さんの売上集計の例では、簡単なプロンプトで、生成AIは人手以上の処理ができることをご紹介しました。
この例での成功のポイントは、「プロンプトを簡単にする」ことと、「やってみること」です。
生成AIの最大の特徴は、人間と同じ、「皆まで言わなくてもわかる」というところです。いわゆる「推論」ですね。この推論が最大限に発揮されるようにするには、事細かな指示をプロンプトで書くのではなく、簡単、簡潔に書くことです。
また、与えるソース(この例の場合は、スキャンした売上報告書とEXCELファイル)に、類推がしっかり及ぶようにすることも重要です。パン屋さんの例では、売上報告書とEXCELファイルは紙と電子データと、種類が異なるわけですが、商品名と店舗名が予め一致するようになっているおかげで、その関係性から、生成AIはやりたいことの意図がつかめるのです。簡単なことではありますが、与えるソースの関連性を示す、というのが時短用途で生成AIを使うコツです。そこだけ、指示する人間が配慮する時間を取れば、後の指示はさほど事細かに行わなくても良い、というわけです。
非定型な業務を定型化する
日々発生する手作業を、生成AIを使って少しでも時短して仕事を進める社員は、当然、仕事が早いと評価されるに至るわけですが、このような評価を、経営者は見逃してはいけません。
非定型業務で時短を達成する社員が出てきたら、これを整理して定型化し、社内システムとして構築してしまいましょう。特に、時間が掛かって面倒で、煩雑になりがちな手作業は、社員も嫌うわけですから、効率化にプラスして、社員のメンタルにも貢献してくれます。
株式会社スーパーワンでは、教育分野や医療分野での生成AI等を活用したシステムの構築を提案しています。お気軽にご相談ください。


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